2025.02.04 Category:kuriya手帖
【2月の企画展】
日田の古民家ギャラリー「鹿鳴庵」が厳選した小鹿田焼の器約400点を展示販売いたします。
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鹿鳴庵 × kuriya
「暮らしの中の小鹿田焼」
2025年 2/7(金)~2/16(日)
※2/12(水)は定休日
本店のみ開催
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kuriryaでは2年ぶりの開催となる今回の展示会。前回同様、小鹿田焼の9軒全ての窯元が揃います。さらに今年は、若手の陶工による器も新たにお目見えします。
全国的に見ても、東京以外ではなかなかお目にかかれない規模の展示会となっています。
「世界一美しい民窯」とも称される小鹿田焼の器の数々、ぜひお手に取ってご覧ください。
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1月、小雪がちらつく冬の日。日田・小鹿田焼の里のそばにある鹿鳴庵へと足を運びました。
日田の山あいの緩やかな山道をすすむと右手に立派な茅葺き屋根が見えてきます。
鹿鳴庵・小鹿田焼に関してはこちら前回の記事を参照ください→★
古民家“風”ではなく、この地で長く静かに息づいてきた凛とした古民家の佇まい。土壁や暖かな窓灯りがもれる外観を目にしただけでもわくわくとした期待感が高まります。
160年以上の歴史を紡ぐ母屋にはギャラリー、ラウンジ、お茶室を備え、壁一面のガラス窓の外にはのどかな風景が広がります。
およそ200年前の(!)石垣を一面壁に配したラウンジは、どこか神聖な空気感がありながら不思議と居心地が良く、時間の流れも緩やかに感じます。
店主・佐藤さんのお話を伺いました。
佐藤さんの背面に見えるのが200年前の石垣。
2年前の企画展開催時にはありがたいことに多くの方に来店いただき、改めて小鹿田焼の人気を再認識いたしました。
いまや世界的にも注目が集まる小鹿田焼ですが、こちらのギャラリーは、国内はもちろん海外からの旅行者も多いそうです。
外国の方には「小鹿田焼を通して日本の文化を伝えたい」との思いがあるという佐藤さん。日本の文化とはどういったことでしょう?
ツーリスト向けのお茶や書を嗜む茶室。
実は幼い頃から書に親しみ、禅をテーマとした書人でもあられる佐藤さん。
書と禅、禅と民藝は通ずるものがあるそうで。
「今の時代、ものすごくスピード感がありそうで、ある意味めちゃくちゃ遅い。例えば、人は悩むとすぐに対策して解決しようとするけれど、これって本質的な悩みは解決していない、と」
仏教や禅の世界では“苦=思い通りにならないこと”があるのがあたりまえ。“苦”があるからいいことも起きる、との考えがあるのだそう。
「まずは“苦”は受け入れるしかない。悩みや問題というのは、“時間”の中で解決していけばいい。そういったことを書を通して禅的な考え方をするとラク、というのがまずあります」
ふむふむ、それが小鹿田焼=日本の文化を伝えるにどう繋がるのでしょう?
「小鹿田焼も同じなんです。窯を薪で焼くときには失敗もある。“窯炊き一生”と言って答えがない。ところが小鹿田焼の人たちはいちいち一喜一憂しない。ときには何百万と損することもあるけど、それでも時間軸を長く捉えているから、そういうものなんだって受け入れている。禅の考え方と小鹿田の考え方はすごくマッチしているんです」
今の時代だと、窯の温度は温度計で管理すればいい、とすぐに対策して解決しようとしがちですが、そういう短絡的な意識でのモノづくりではないということ。
「小鹿田焼がいい、というのは…答えはわからないけれど、足し算じゃないところかな。小鹿田焼が発するエネルギーはそこからきてるのかも。コスパとか合理性とかとか小鹿田焼は全然考えていない。時間軸が長いので、案外解決も早い」
というのは?
「例えばチャットGTPはすぐに答えを出してくれるけど、本質的なもの=心のことは解決してくれない。それより意外と小鹿田焼ひとつですぐに気持ちがほっとできて、よっぽど解決がはやいこともある。そして小鹿田焼に触れることで安心するのは世界共通のもの。世界中の人が対象になるんです」
300年以上、一子相伝で伝統技術を受け継いできた小鹿田焼。
長い時間軸の中でこそ生み出されるものが持つ力。それぞれの器を手にしたとき、自然と語りかけてくれるもの、かもしれません。
日田の地で小鹿田焼に囲まれながら、時代背景や今後の展開など多岐にわたるお話はさらに興味深く感じました。貴重な時間をありがとうございました。
鹿鳴庵からさらに少し足を延ばし、小鹿田の里へ。
カポーンとカポーンと唐臼の音がそれぞれの窯から響きます。機械を使うことなく、20~30日かけて集落を流れる川のちからを利用して土をパウダー状にするそうです。
集落の中央には象徴的な登り窯が。
この里に着く頃には雪が舞い散り始めました。
少しの時間、おじゃまさせていただいただけでしたが、この静かな山間で自然とともに歩み続け、今も変わらぬ工法をただ粛々と継続している歴史が感じられました。
鹿鳴庵・小鹿田焼に関してはこちら前回の記事を参照ください→★
今回kuriyaでの展示会に合わせて、平皿をはじめピッチャー、マグカップなど多く焼いてくれた新作や、注目の若い陶工の作品もご覧いただけます。
一年ほどかけてやっと間に合った、黒いスープカップもご覧いただけます。
kuriyaでは2年ぶりとなる小鹿田焼の展示会、ぜひご期待くださいませ。
鹿鳴庵とのご縁と甚大なるご協力のもと、長崎の地で小鹿田焼をご紹介できることを大変嬉しく思うと同時に、この場を借りて感謝申し上げます。
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