2025.12.27 Category:kuriya手帖
1月のテーマは、毎年恒例の〈kuriya the standard〉。
年の始まりに、あらためて “kuriyaの定番道具” の魅力をお届けしています。
今回のテーマは 「食いしん坊の台所道具」。

kuriya流“食いしん坊”とは、単に“たくさん食べる人”ではありません。
食べること・作ることがごくごく自然に暮らしの真ん中にあるような人たち。
――そんな“食いしん坊”たちの台所、ちょっと覗いてみたくなりませんか?
今回お話を伺ったのは、kuriyaが勝手に“食いしん坊”認定させていただいた皆さま。
…ちなみに今回、“食いしん坊”呼びで大丈夫でしょうか?と確認すると「はい、食べるの大好きです!」と、皆さんから快諾いただきました〜。
日々の台所で愛用する道具や思いを聞かせていただきました。
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道具が息づく、満たされた台所
岩﨑ともさん(プライベートサロン 日々 にちにち)
時津の静かな住宅街にあるプライベートサロン「日々(にちにち)」。
未病ケアを中心にオーダーメイドの施術で、身体と心を整える場として、多くの方が訪れます。

実は今回、“食いしん坊”というテーマの発端が、ともさん。
食や道具への愛情の深さにkuriyaスタッフが深く感銘を受けたことから、ヒントとさせていただきました。
わくわくとした気持ちで、ご自宅の台所を訪ねました。
ともさんが選んできたもの
玄関から土間を抜けて台所へ足を踏み入れると、思わず「わあ」と声が出ました。壁一面にあつらえた棚には、使い込まれた道具たちががぎゅっと並び、使われるそのときじっと静かに待っているかのよう。


すぐ手が届くシンク前の窓際にも道具たちが。
窓の外では木々がそよぎ、やわらかな光が満ちています。
見上げた先の裏山には梅やびわ、栗の木など。季節ごとの実りが楽しめるそう。

ガラス瓶には薬膳素材。サロンでは季節や身体の状態に合わせて薬膳茶を出されています。
「道具が好きだから次々に欲しくなる。壊れないし、減ることはないですね笑」
そんなともさんにモノ選びの基準は?と尋ねると
「使いやすさ・洗いやすさ・耐久性・古びてもかっこいいこと」と即答。
購入するときは、誰かに憧れてとか、ネットの評価ではなく、必ず実際に自分の目で見て手で触ってから。プラスチック製品やポップな色のものは好まず、自然と馴染む色味や素材がしっくりくるそう。
実は長年kuriyaのお客さまでもある、ともさん。
店頭で手に取るものも、職人の手しごとや昔ながらの道具など“人の手のぬくもり”を感じられるものを選ばれている印象があります。

ほかにも、ひとつで何役というオールマイティに使えるものより、目的に応じてサイズや素材違いで選ぶことも。
「たとえばフライパンは素材によって火の通り方が違うので、料理によって使い分けています」
道具ひとつひとつにエピソードがあり、私たちもあれこれと質問がつきません。

蒸籠のサイズは30センチ。蒸しパンとかを一気に蒸したいから大きめサイズをチョイス。次は重ねて使えるよう、小さめサイズを検討中。
料理も時間をかけてじっくりと取り組む?と尋ねると…
「食べたいときに食べたいものを。20〜30分でぱっぱっと作ることが多いですね」
薬膳フードデザイナーとしての知識が自然に体に染みついていることもあり、旬の食材や体が求めるものを組み合わせるだけで、献立は迷わず決まるそう。
「彩りがよければいい、あんまり悩まない。適当なんです・笑」
謙遜であることはすぐにわかります。
息するように自然に料理する
「お昼、何か作りますね。ごはんとロールキャベツでいいです?」
そう言うが早いか、手が動き、お米を研ぎ、みそ汁鍋を火にかけ、黒豆とゆり根を加え炊飯スタート。
「ゆり根は咳を鎮める効果があるんですよ。乾燥している時期にはぴったり」

ネーミング的には“みそ汁”鍋ですが、もちろん炊飯もおまかせあれ。土鍋の遠赤外線効果でふっくらとしたご飯が短時間で炊き上がります。ともさんは「ひとり鍋にも使います」とのこと。
旬の食材を身体に寄り添いながらごく自然に組み込むんだなあと思っていたら、いつのまにかアルミのやっとこ鍋を取り出し、お湯を沸かし、キャベツを茹で始めていました。
「もう25年、結婚してからずっと使い続けてます。毎日使うから手放せない」


取手がないアルミ鍋「やっとこ」は軽くて、洗いやすく、煮えるのも早い。栗しごとやパスタを茹でたり、料理に合わせてサイズを使い分ける。写真はともさん私物。kuriyaでは中尾アルミ制作所のアルミ鍋を取り扱っています。
冷蔵庫から取り出した野田琺瑯のバットには下ごしらえしていた具材が。
茹で上がったキャベツで手際よく包んだロールキャベツを並べるのも琺瑯バット。

下ごしらえに使いやすい野田琺瑯のホワイトシリーズ。オーブンも冷蔵庫もOKなので、下ごしらえや調理にも使いやすい。ともさんはゼリー作りにも使うんだとか。
コンロにセットしたのはストウブの鍋。
「煮込みはやっぱりストウブだな、と実感しています」
ともさんが使っているストウブ鍋はオーバル23㎝の黒。お魚がまるっと入る楕円が使いやすいそう。

実は使い勝手がいい楕円形のストウブ・オーバル型。魚料理はもちろん、とうもろこしやアスパラなど長めの食材もまるっと入れられます。
まだまだ手は止まりません。カブを手際よく切り分け、浅漬けを仕込む。味付けは果実酢SÜ(スー)の“10の素材のビネガー”。
「なんでもこれで味つけできるんです。常備しています」

福岡うきは市で収穫されたフルーツを使った果実酢はそのままドレッシングとしてサラダに、パスタ、お魚やお肉料理、揚げ物にも合います。「砂糖が入っていないのがいい」ともさんは3種類を使い分けている。kuriyaでもリピーターが多い人気商品。
いい匂いが漂ってきました。
蓋を開けるとき「おいしくできていますように」と小さく祈る、ともさんの言葉にこたえるように、ふわっと湯気が立ちのぼります。

土鍋で炊き上がったほくほくのご飯は手際よくおにぎりに。

食器棚から選んだのは“六音窯“の深皿と、お母さま作の“おにぎり専用“の器。
“六音窯“のお皿にロールキャベツを盛り付け黒胡椒をさっとひと振り。
浅漬けの仕上げには仏手柑(ぶっしゅかん)を“マイクロプレインのゼスターグレーター“でささっとすりおろすと柑橘のさわやかな香りが広がります。

マイクロプレインのゼスターグレーターは目詰まりしやすい生姜、固めのチーズやレモンなども簡単にすりおろすことができる優れもの。ちなみに「仏手柑」とは、果実の形が手の指に似ており千手観音を思わせることから。流通量がとても少ない縁起物。「思わず買っちゃいました」
一連の動きには無駄がなく、息をはくように、料理と盛り付けが進んでいく。
それでも、ともさんは「適当なんです」と言う。
食と道具を楽しむ日常
あれよあれよというまに食卓にはできたてのごはんが並びます。
「どうぞ、めしあがれ」

見た目にも気持ちがふわりと温かくなります。
「いただきます」
大きな海苔で包まれたおにぎりを一口。ゆり根と黒豆の優しい甘みが噛み締めるたびにじんわりと広がります。
まだ湯気立つロールキャベツをひと口いただくと、香ばしく焼いたイカをミンチした肉だねの旨みと香りがふわっと鼻に抜けます。
「おいしい…」
どちらも身体が喜ぶ滋味深い味わい。身体にも心にも優しく沁み渡ります。
「お茶もどうぞ」
お湯を沸かすのは、ガラス製のポット“トレンドグラス イエナ”。
どうしてガラスポットを選んだのですか?
「なんといっても見た目がいい! ガス火の青い炎や、泡がポコポコと湧くのが見えるのもテンションが上がります」

見た目は繊細なガラス製ですが、思ったより使いやすいとのこと。「意外と汚れないし、丈夫。薬膳茶を作ることが多いのですが、茶葉の様子が見えるのがかわいい」。
“適当”と言いながら、身体が求めるものをていねいに日常に取り入れている、ともさん。
裏山の梅や栗などが実れば、当たり前のように手を動かし保存食作り。
どんどん増える道具たちも決して手放すことはない。
「手入れをしながら使うのが好きですね。愛着がどんどん湧いてきます」
こんな風に手をかけ、目をかけてもらえるなんて、ともさんに選ばれたモノたちもきっと嬉しいはず。

台所では常に手を動かす。それがともさんの日常で、当たり前のこと。
暮らしの中に食べることが当たり前にある、まさにそんな人の台所でした。
プライベートサロン 日々 にちにち/岩﨑 智さん
日々あたりまえに生きること。精一杯楽しむこと。そのために健康であること。病気になる前の未病ケアをメインにオーダーメイドの施術で心緩める時間を提供している。現役医師による健康毉学(西洋医学)修了。薬膳フードデザイナー(東洋医学)体質診断と食養生。トリムリターンFC加盟店。
店頭では、ここでは紹介しきれなかった愛用品も紹介いたします。
ぜひ実際にお手にとってご覧ください。
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